大阪なおみ選手から見る「真実は言えない」理由とは

近年、著名人のうつ病や適応障害の公表が多くなっています。
最近であれば、2021年5月の大阪なおみ選手でしょう。
うつ病の公表とともに、全仏オープンの棄権を発表しました。
大阪なおみ選手は世界的なテニスプレイヤーです。
実力の高さもさることながらCMなどメディアに多数出演しているのでテニスに詳しくなくとも大阪選手を知っている人は多いと思います。
そんな大阪選手のうつ病公表は、今までの著名人の公表とは世間の捉え方が違いました。
基本的に著名人が公表した場合、世間の意見は「しっかり休んでね」とねぎらいのコメントが多いです。
でも大阪選手の場合は、どちらかと言えば批判的な意見が多く集まりました。
- 公表が後出しジャンケンだ
- あんなことした後の火消しだ
- ちょっと卑怯だよね
なぜ大阪選手の場合、このような否定的な意見が集まったのでしょうか。
また、もっと早く公表できなかったのでしょうか。
ここにはうつ病になった人でないとわからない考え方があると思います。
もしくは、うつ病になった人ならではの考え方が今回の事態を招いてしまった、とも言えるのではないでしょうか。

うつ病の当事者であるユーイチの考えをまとめてみます。
そもそも公表前に何が起こったか
大阪なおみ選手がうつ病の公表後、否定的な意見が集まりました。
その発端は、公表前の彼女の行動や言動がありました。
1)ラケット破壊
試合中、イライラが募りラケットを地面に叩きつけて破壊する行為です。
プロ野球の試合でも三振した後、バットを叩き折る場面を見たことはありませんか?
自分のふがいなさや、行き場の無い怒りを道具に叩きつけているのでしょう。
アスリートの気持ちは私たちでは到底わからない部分が多いと思いますが、見ていて気持ちの良いものではありません。
まして世界を代表する選手が、全世界で放映されているとするならば・・・・
スポーツマンシップに反する!と世間は捉えてしまいますよね。
2)記者会見拒否
試合後の記者会見を拒否しました。
多額の罰金を言い渡されました。
その額なんと1万5千ドル(約165万円) !!
海外の記者はなかなか踏み込んだ質問をしてきます。
世界と渡り合う大阪選手とは言え、まだ20代そこそこの若い女性です。
辛らつな質問は心を傷つけストレスだったことでしょう。
このときすでにうつ病と戦っていた時期です。
それは会見拒否したくなると言うものですが、世界を代表する選手ですから世間はよく思いませんし、まだうつ病と言う事も公表されていないのでマイナスなイメージになりました。
もし、もっと早くうつ病と公表していたら?
選手として素晴らしい戦績を残している時期にうつ病を公表していたら、世間の反応はどうなっていたでしょう。
おそらく、他の著名人同様「大変だったね」「今はしっかり休んで治してね」と言った暖かい声に包まれていたと思います。
でも大阪選手はそれをしませんでした。
出来なかった、と言ったほうが正解かもしれません。
それを次の項目で考察しましょう。
真実が言えない理由は性格?
障がい者雇用の場合、同じ障がいでも身体より精神の方がダントツに仕事が少ないです。
その事例からもうつ病に限らず精神障がいを公表するのはものすごく抵抗があります。
例えば、一般社会であれば
- 会社クビになってしまうかも
- 周囲から冷たい目で見られてしまう
- そんなの甘えだ!と批判されてしまう
- 同僚に迷惑をかけてしまう
こういった理由が多いと思います。
私も会社をクビになってしまうのでは?と公表出来ませんでした。
大阪選手ももしかしたら同じ心情だったのではないでしょうか。
- ここまでのキャリアが崩れてしまう
- スポンサーに迷惑をかけてしまう
- 出場停止になったらどうしよう
- メディアにうつ病をひどく報道されるかも
- ファンが離れてしまうのでは
と言った感じです。
健常者から見れば、早く公表すれば問題なかったし、事態も良くなっただろうに、と思われることでしょう。
おそらく大阪選手も問題行動の前に公表していれば、試合は欠場せざるを得ないでしょうがエールとともに周囲は暖かく見守ってくれたはずです。
(結局現状も欠場になったわけですし)
一般社会でもクビになってしまう可能性もありますが、休職や時短などの提案をいただける可能性は大いにあります。
会社の人間関係が問題なら、公表することで配置換えや苦手な人物から離してもらえるかもしれません。
と、わかっていても真実を言えないのがうつ病になる人の性格です。
- 心配性
- 真面目
- 我慢してしまう
- 元気に見せてしまう
うつ病の性格は真面目で不器用でちょっぴりめんどくさいのです。
なかなか公表できない理由のひとつなのです。
社会の認識改善が必要
実は真実を言えない理由は性格の他にもうひとつあります。
それは社会の精神障がいへの認識です。
先ほども述べましたが、身体の障害がより精神の障がいのほうが社会への受け入れ態勢が整っていません。
精神障がいは目に見えない部分が多いので、周囲は対応や扱いに困惑するからでしょう。
なにか問題を起こすのではないか!?と言う変なイメージも先行しているかもしれません。
こういった社会の認識を改めない限り当事者は公表できないし、受け手側は「なぜ言ってくれなかったんだ」といつまでもかみ合わない状況が続きます。
双方にとっていいことはありません。
大阪選手がうつ病の公表前にしてしまったあの行動は、あとから「うつ病なので」と言っても許されるものではありません。
でももっと早く公表していれば、あのような行動の前に試合を危険視ゆっくり休みに入っていたことでしょう。
苦手でストレスなインタビューも無くなっていたことでしょう。
著名人も一般人もストレス時代ですから、隠れうつ病はたくさんいると思います。
そんな人たちが堂々と公表できる社会、受け入れられる社会になるために認識を改めていく必要性を今回の大阪直美選手の一連から感じました。

一番ベストなのはうつ病にならない社会になることですけどね!
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