うつ病を心の風邪と例えるにはあまりに危険な理由とは?

- なんだか熱っぽい
- 喉が痛い
- 席が出る
- だるい
こういった経験は誰しもありますよね。
そして「ああ、風邪引いたな」と考えます。
風邪はそれだけ身近な病気のひとつです。
そんな風邪になぞらえて、うつ病を「心の風邪」と良く例えます。
この例え、すごくわかりやすいと思います。
最初に言いだした方って天才なんじゃないか、と尊敬します。
しかし、わかりやすくてシンプルなだけに危険性もはらんでいます。
うつ病は簡単に「心の風邪」と捕らえては人生を大きく狂わせてしまう可能性があるのです。

今回はなぜ「心の風邪」と呼ぶには危険すぎるのかをお話します。
「心の風邪」と例えられる理由
先ほども少し述べましたが、うつ病は誰しもが経験する可能性がある身近な病です。
どれだけ一般的な病かと言えば、10人に1人が生涯で一度はうつ病に罹患すると言われています。
- 辛いのに病院で異常無しの判断
- 不眠
- 落ち込み
- 落ち着かない
- 不安
- 動悸
これらは誰もが少なからず経験しますよね。
複合的要素もありますし、診断も必要ですが、2週間も続けばうつ病の可能性が高い部分なのです。
まさに「心の風邪」なのです。
「心の風邪」と例えるほかの理由として、精神の病が故の世間体が挙げられます。
一言で言えば、うつ病=精神の病への偏見を避けるためです。
うつ病は身近な病気とは言え、まだまだ世の中の認識は広まっていません。
家族ですらうつ病の理解は難しいのが悲しいかな現実です。
その為、「うつ病」と表現するより「心の風邪」と表現した方がイメージが柔らかいのです。
「心の風邪」なんてもんじゃあない!
一般的な風邪ならば、お薬飲んで、良く寝て、栄養を摂れば、1週間~2週間ほどでスッキリ完治することがほとんどです。
しかし、うつ病の「心の風邪」はそうではありません!
- 原因が複雑
- 原因が人それぞれ
- 不眠など複合的要素がある
- 治療に相当な時間がかかる
- 自殺者の6割がうつ症状
- 仕事、人生、時間、お金などいろいろなものを失う
つまり、「治りにくく人生を大きく狂わされてしまう」病気なのです。
「ああなんだ心の風邪」か、程度で自分も周囲も軽く考えてしまうと取り返しのつかないことになりかねないのです。
- 早期発見
- 早期治療
うつ病は、身体の重大な病気と同等と理解する必要があります。
なお、うつ病は治癒と言いません。
「寛解」 と表現します。
それほど難しく辛い病気なのです。
詳細はこちらの記事を読んでみてください。
うつ病あるある!?寛解ってなに?治癒じゃないの?
そもそもうつ病は心の病気ではない!
厳密に言えば、うつ病は心(精神)の病気ではありません。
脳の病気です。
どうしても、うつ病の発端がストレスや悩みが根本にあることが多いために心(精神)の病と思われがちなんですね。
簡単にうつ病を説明すると、脳内の神経伝達物質の異常で起こる病気、です。
私たちは脳から指示や命令を受けて生活しています。
この指示系統は脳細胞の指令書『神経伝達物質』 が細胞中に広めています。
ところが脳細胞の指令書『神経伝達物質』 が日々蓄積されたストレスなどから減少すると、指示=情報が不足し感情(心、精神)や活動(身体)に変調をきたします。
これがうつ病が脳の病気の所以です。
他にも脳細胞の栄養の減少から情報量が不足もうつ病の原因と考えられています。
あくまで例えとして捉える
うつ病は本当に身近な病気です。
テレビで良く見る著名人もうつ病告発事例が多くあります。
かく言う私自身も「よもや自分がうつ病に!?」と最初は驚きました。
それくらい誰でもうつ病罹患は隣りあわせなのです!
でもまだ世間体はうつ病に偏見がありますし理解も乏しいです。
その為なんとなくイメージが持ちやすい「心の風邪」の例え方はかなりOKと言えます。
と同時に治療するのに時間がかかること、風邪とは比較にならない苦しみ、社会復帰の困難、甘えではなく休む必要性を理解することが重要なのです。

うつ病は表面上「心の風邪」と表現し、内情は蝕み広がり続ける「心のがん」と捉えても大袈裟ではないと思います。

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